構造色の美しいハチ、セイボウ [ハチ・ハエ・アリ]
構造色の虫といえば、モルフォチョウやタマムシなどが知られるがハチの中にもこれを身に纏った種がいる。
「セイボウ」の仲間だ。漢字で書くと青蜂。
体中にある点刻と黄、緑、青の金属光沢が眩しい。
クリッとした大きな目もかわいらしいが、その生態はほとんどが他のハチに寄生する。
スズバチ、ルリジガバチやトックリバチを始めとした狩人蜂の幼虫を、宿主としている。
中でもイラガの幼虫に寄生するイラガセイボウは、知る人も多いかもしれない。
調べるとセイボウの仲間の一部は、お尻の先端にある歯(突起)の数で見分けられるようだ。
オオセイボウとクロバネセイボウは4つ、イラガセイボウとミドリセイボウは5つ。
他にも2,4,6歯がいる。
本種は、歯が5つなのでイラガかミドリ。
それぞれの別名イラガイツツバセイボウ、ミドリイツツバセイボウはここからきているようだ。
さらにイラガセイボウには胸部先端に突起があるらしいが、探してもそのようなものが見当たらないのでミドリセイボウかもしれない。
お腹の赤いハチ [ハチ・ハエ・アリ]
丘陵に幻のチャイロスズメバチ [ハチ・ハエ・アリ]
コガタやキイロスズメバチと同じくらいの大きさだ。
この樹液には例年オオスズメバチもやって来るが、今年はほとんど見かけずコガタスズメバチとこの赤茶のスズメバチばかりだ。
高い位置なので写真を撮れずにいたが、今日は低い場所にいたのでラッキーだった。
このハチ、幻のスズメバチといわれ個体数の少ない「チャイロスズメバチ」だ。
確かに、今まで見た事は一度もなかった。
女王蜂は、キイロスズメバチやモンスズメバチの初期巣に入り、その巣の女王を殺して巣を乗っ取る。
生まれてきた巣の働き蜂に自分や子供の世話をさせ、その後自分の産んだ働き蜂と入れ替わるという「社会寄生性」を持っている。
キイロやモンの女王を殺すほどなので、それらより針も長く太く、種全体の攻撃性も強いようだ。
ここに頻繁に訪れているという事は、近くに巣があると思われる。
そろそろ巣も最大になり活発になってくる頃だが、是非ともそのありかを突きとめたいものだ。
おしゃれな装いのルリモンハナバチ [ハチ・ハエ・アリ]
草はらに咲いているアキノタムラソウの花には、イチモンジセセリを始め色々な虫がやって来ていた。
そんな中で一際目立つのが、水色と黒のコントラストが美しく、9月頃から見られる秋のハチ「ルリモンハナバチ」だ。
よく見ると黒い体に水色の毛が生えている。
同じ種のコシブトハナバチ類に寄生するというのだから不思議だ。
このハチを初めてみたのは、埼玉県の中央部にある公園の草原だった。
夕方4時ごろ、イネ科の尖った葉の先に小さな水色のものがぶら下がっていた。
何だろうと見ると、葉先を顎でくわえてこのハチが眠っていた。
その美しさと、奇妙な寝姿に釘付けになりつい近寄りすぎて飛んで行ってしまった。
それ以降、丘陵にもいるのではと探すも見つけることが出来ずにいたのだが、この日は周囲に数頭が訪花に訪れていた。
これから数が増えると思われるので、眠っている姿も是非撮影したい。
コガタスズメバチの営巣初期の巣 [ハチ・ハエ・アリ]
越冬から目覚めた女王蜂は、5月頃から一匹で巣をつくり働き蜂の子育てをする。
この時期の巣は、とっくりを逆さにした形をしているがこの巣はまだそこまで出来上がっていないようだ。働き蜂が羽化し巣作りをするようになると、とっくりの首の部分を壊し、内側の巣材を削って材料に加えながら外側に重ねて大きく丸くなっていく。
少し様子をうかがっていたが、どうやら女王が不在のようなのでちょっと中をのぞかせてもらった。
巣内の上面に9室の部屋がつくられ卵が産みつけられていた。
少し待ってみると、口に巣材をくわえて戻って来た。
さっそく巣作りを開始。くわえてきた巣材で形作っていく。
巣材は樹皮と唾液を混ぜ合わせたもので、採って来た木の種類によって色が異なるため縞の模様が出来上がる。世界に一つしかない素晴らしいデザインだ。
今の時期は、種に関わらず多くの女王蜂たちがせっせと巣作りに励んでいる。
コナラの葉裏に巣をつくっていた「ムモンホソアシナガバチ」。
コナラの幹の根元に巣を作っていた「キアシナガバチ」。
木の看板の下側に、巣穴をほって外の様子をうかがう「クマバチ」。
ここには3匹のクマバチが、等間隔に並んで巣穴を掘っていた。
たまに間違えて隣の穴に潜り込んで、追い出される光景も見られ面白い。
シロアリの結婚飛行に出会う [ハチ・ハエ・アリ]
今日は朝からムシムシ湿気の多い暑さ。
ムシムシだからか?草原では、ハムシが異常な数飛び交い、立っていられないくらい。
これではどうしようもないとエスケープ。
別の谷戸を歩いていると、今年初「アサギマダラ」を目撃。突然の出現で、証拠写真程度。
後翅には啄まれたような跡が。旅の途中、鳥に襲われたのだろうか?
小さな小川のほとりに来た時に、また小さな虫が無数に飛んできた。
カゲロウのように翅が透き通り綺麗に思ったが、その数に驚いた。
先ほどのハムシどころではない。
いったいなんの虫?と捕まえてみると翅の生えたシロアリだった。
そういえば、シロアリは初夏の雨の後、暑い日の午前中に結婚飛翔をすると以前に聞いた。
今日はまさしく雨の後の暑い日で、今は午前中!
出所をたどってみると、あちこちの雑木林の奥や木で出来た橋から飛び立っている。
いちばん近い橋のところに行ってみた。
どうやらこの橋の材の隙間から翅のあるシロアリがどんどん出てきている。
その数、いったいどれくらいいるのだろうか?
この結婚飛翔は、有翅生殖虫がコロニーから旅立ち、新コロニーを創生するらしい。
飛び立った後、翅を落とし相手を探して歩き回りメスは尾端を上げてフェロモンを出してオスを誘うらしい。出来たペアは倒木などの下の土中に新しい巣を作り交尾・産卵し新たなコロニーを作るそうだ。
これらの有翅生殖虫は何の武器も持たないため、かなりの数他のアリやトンボなどの敵に食べられてしまう。確かにこの上空に数匹のトンボが飛び捕まえて食べ、巣から出てきたものにアリが襲いかかっているのが見られた。中央の白いのがいかにもシロアリという兵隊アリだが何の役目も果たしていなかった。
巣からでて間もなく尻を上げているのが多数見られたが、これがメスでフェロモンを放出しているのだろうか?
今日見たシロアリが家の材を食い散らすのか分からないが、木造の家に住んでいる方々には恐るべし脅威であろう!この時期、翅のあるアリには注意が必要である!!
大顎を持つアリグモのオス [ハチ・ハエ・アリ]
先日葉の上で、ようやく見つけた「アリグモ」のオス。
前足を触角のように動かしてアリのように葉の上を歩きまわっていたが、こんなに大きな顎のアリはいない・・・・。
昆虫は頭、胸、腹の3節からなりクモは頭・胸、腹の2節だがアリグモは頭と胸がくびれていてまさにアリのような体型に見えるところもすごい!
相変わらずじっとしていないので、カメラを構えて追いまわすが思うようにとまってくれない。
そのうち葉の上から枝へ移動。
姿・形から見ても名前の通りアリに擬態しているのは間違いないのだが、その目的は?
攻撃性が強く、蟻酸を出すアリに似せる事で、自分の身を守っていると思われる。
それにしてもこの大顎で挟まれたら、まず100%逃げる事は出来ないだろう!
ウマノオバチを探していたら・・・? [ハチ・ハエ・アリ]
ハチの仲間にウマノオバチというのがいる。
体の何倍もある尾=産卵管を持ち、その尾を木に差し込んで中にいるシロスジカミキリの幼虫に卵を産みつけるという凄技の持ち主。
昆虫写真家 新開孝さんのブログ「ひむか昆虫記」で紹介されていた。
まだ一度も見たことのないこのハチを探しに出掛けてみた。
丘陵で以前シロスジカミキリが産卵するための穴をかじって開けていたコナラを見に行ってみると、オレンジ色のハチらしきものが木の幹をうろうろ。
おおぉ・・・いた!と思ったのもつかの間、よく見ると尾が短い。全然短いのだ。
姿かたちに色や模様もそっくりで、尾っぽがちぎれたのかとも思ったがこれは恐らく「ヒメウマノオバチ」。
尾の長さの他に、ウマノオバチの後ろ脚は黒いが、ヒメはオレンジ色
だそうだ。
ウマノオバチは、やはりあの長い尻尾が魅力なのだ。
いくら似ていてもこの長さでは・・・・・・。
今度こそ本物を見たいものだ。
花から花へと忙しいクマバチ [ハチ・ハエ・アリ]
キツネノマゴのお花畑で観察していたら、周りでブンブン羽音が・・・。
スズメバチかと見ると「クマバチ」であった。
小さな花に口を突っ込んで、蜜を吸っている。
花がとても小さいので、止まったかと思ったらすぐに次の花へ。
蜜の量が少ないので、数をこなす作戦なのか。
とにかく忙しく動き回る。
確かに、ここで一番花の数が多いのは、この花だと思う。
お花畑の中でじっとしていると、あちこちからクマバチの羽音が聞こえてくる。
顔を見るとどうやらみなメスのようだ。
オスには目と目の間に淡い黄色の紋があるので区別は容易。
藤の花が咲く頃に、花の周りをホバリングをしながら飛んでいるのは、縄張りを持つオスだ。
オスは針を持たないので刺さないが、メスは刺すので注意が必要。と言っても温厚な種なので、手出しをしない限りは刺されることはほとんど無いだろうと思う。
おそろしや~スズメバチ同士の争い [ハチ・ハエ・アリ]
コナラの樹液に来ているクロカナブンを見ていたら、上から足元に、“ボトッ”という音と共に何かが落ちてきた。
ドングリかと思いきや、何と2匹の「オオスズメバチ」だった。
2匹は絡み合い、顎や針で攻撃しあっている。
何とも恐ろしい光景である。
巣の異なる個体が餌場で出逢うと、こういう争いが起きるそうだ。
とにかくひつこく相手が死ぬまで戦うことが多い。
そういえば、秋の終わり頃、昆虫酒場の木の根元にたくさんのスズメバチの死体を見ることがある。
少しの間じっと見ていたら、どうやら片方が優勢で、負けそうなほうが逃げようとするのをしっかり掴んで放さずさらに攻撃を続けていた。
しかし僅かな隙を見て、逃げ去ってしまった。
戦いが終わったとほっとしていたら、勝ったほうが今度はこちらに向かって飛んできた。ズボンにとまったのを振り払って逃げたが、危うく刺されるところ。やはり危険なやつらだった。
この戦いの最中、すぐ隣ではモンスズメバチが何かを探して歩いていた。
なかなかのんきなものである。
どのスズメバチもこれからが、最も凶暴になる時期。
Fieldでは充分に注意したいものだ。