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アカボシゴマダラとゴマダラチョウの蛹の識別 [チョウ・ガ]

今年は、例年になくアカボシゴマダラが多く見られた。
今までほとんど確認されていなかった近県でも幼虫が見つかり、生息域を拡大している事が裏付けられている。

丘陵でもエノキの若木の多くに幼虫がつき、今まで見た事が無かった蛹も今年は確認できた。
蛹のある木を探すと幼虫がいたので、アカボシゴマダラの蛹に違いないと思ったのだが、良く似たゴマダラチョウの蛹とどこが違うのか比較して見た。
最もわかりやすい違いは、背側外縁の突起の大きさが異なることだ。

アカボシゴマダラ=外縁の突起が大きい。
akaboshigomadarasanagi.JPG
















ゴマダラチョウ=外縁の突起が小さい
gomadaratyousanagi1.JPG
















幼虫の識別点もおさらいすると、背中の突起の数と大きさ、尾端が閉じているか開いているか。
背中の突起の数には個体変異もあるが、尾端の開き具合と合わせて見ると識別は可能と思われる。
写真は全て短角の越冬型幼虫。

アカボシゴマダラ=背中の突起が4つで上から3つ目が大きく、尾端は閉じる。
akaboshiyoutyu.JPG
















ゴマダラチョウ=背中の突起が3つで尾端は開く。
gomadarayoutyu.JPG
















ついでにオオムラサキ=背中の突起が4つだがほぼ同じ大きさで、尾端は開く。
oomurasakiyoutyu.JPG
















これらはエノキを食樹とするが、経験上オオムラサキは大木に、ゴマダラチョウは大木~若木、アカボシは若木と産卵する木を選んでいるようで、アカボシの拡大による他2種への影響は少ないのではと思う。
しかし若木でゴマダラとアカボシの幼虫が混在しているのを見ると、ゴマダラにとっては少なからず迷惑な存在かもしれない。


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コメント 4

柚子

分かりやすい違いを知って目が点になりました。
私が見た5頭のアカボシゴマダラ幼虫がいたのは、おっしゃる通り
背丈が低くて幹の細い幼木でした。
数少ない葉っぱを全部食べ尽くしてしまいそうな勢いだったのが
心配だったけど、そろそろ冬越しの時期に入るから大丈夫ですよね。
オオムラサキ・ゴマダラチョウとは葉の好みが微妙に違うというのを
知ってすごく嬉しいです。
どれも特別美しい蝶ですから上手く共存してくれたら最高ですね!
by 柚子 (2010-11-17 18:42) 

hirokou

柚子さん niceとコメントありがとうございます。
今年は、本当にアカボシの多い年でした。
果たして来年もこの勢力を保つのかが、気になるところです。
暖かい湘南などでは樹上越冬するようですが、こちらではほとんど木を降りて根元の落ち葉で越冬します。気候に適応しているのも凄いですね!
by hirokou (2010-11-17 21:52) 

ヒメオオ

先日、東大で行われた鱗翅学会における高校生の発表によるとアカボシゴマダラが高木で産卵していたとのことでした。
同じ日に幼木でゴマダラチョウの幼虫を見つけたので、この2種は競合関係にあるのかもしれないと最近心配し始めました。
by ヒメオオ (2010-11-20 19:10) 

hirokou

ヒメオオさん コメントありがとうございます。
私も一昨年の晩秋に、数十mもある大エノキの幹で越冬に降りてきたアカボシの幼虫を確認しています。オオムラサキと勘違いしたのですが。http://hirokou.blog.so-net.ne.jp/2008-11-26-1 
こうして見るとアカボシの適応力には感服です。ただ大木の場合は、葉も豊富なので、個人的には同じ木に種が混生してもさほど影響はないのではないかと思っています。
by hirokou (2010-11-20 19:40) 

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