クモバチの苦難 [自然]
谷戸の小さな山に行った。
ここは長い間、放置されコナラやクヌギが大きくなり暗い林になっていたのを伐採更新して、春から夏にかけて明るくなりいろいろな生き物たちが見られた場所。
クモバチの仲間が獲物のクモを運んでいる場面に出くわした。
クモバチの種はわからないが、クモはイタチグモのようだ。
足を咥えて運ぼうとしている。
しかし、いくら足を踏ん張っても思うように動かない。
咥える場所を変えてクモの周りを回る。
そのうちに小さなハエたちが集まってきた。
何を嗅ぎ付けてやってくるのか?
クモは、まだ死んでいないので死臭などないはずだが・・・。
どうして動かせないのか?
見ているとクモが土の中に引きずり込まれていく。
どうやら土の中から反対の力が働いているようだ。
ハエたちが周りを飛び回る。
それでもクモバチは狩った獲物を運ぼうと必死だ。
僕が見てからおおよそ一時間、クモバチは全くこの場所から獲物を動かせなかった。
さすがにどうにも手におえないと思ったのだろう、クモバチは獲物を残して飛び去りもう戻ってはこなかった。
するとクモがどんどん土の中に消えていく。
ははぁ、このからくりわかったぞ!
クモを掘りだし、土をかいてみると出てきたのは大きなアリジゴクだった。
クモバチがたまたまアリジゴクの巣の上を通りかかり、クモバチの獲物をアリジゴクが捕まえたようだ。
そこからはクモバチとアリジゴクの引っ張り合い。
両者譲らずの末、勝者アリジゴクとなったわけだ。
ただどちらもなぜ獲物が思うように動かないのかわからずじまいだっただろう。
面白い場面に出くわしたものだ!
2014年9月23日 東京都
ハチ目クモバチ科 クモバチの1種
クモ目ウエムラグモ科 イタチグモ CANON EOS70D MACRO100mm IS USM/430EXⅡ