可愛い鳴き声のカネタタキ [バッタ]
夜になって丘陵の雑木林にフユシャクを探しに出かけた。
冬の夜の一人観察会。
雑木林は真っ暗で静まり返っていた。
暗闇のあちこちからガサゴソ音が聞こえる。鳥だろうか?
懐中電灯の明かりを頼りに、落ち葉を踏みながら歩いていると、急に樹上からバサバサと鳥が飛び立った。
こちらも驚いたが、きっと向うもびっくりしたに違いない。
かなりの木を探したが、残念ながらお目当ては見つからず、クロスジフユエダシャクの♂を一匹木の幹に見つけただけだった。
昨年は、この時期チャバネフユエダシャクやイチモジフユナミシャクなどが見られたのだが・・・。
その代わりといっては何だが、木の幹で「カネタタキ」を見つけた。
本州、四国、九州に分布し、林縁や生垣などの樹上で生活しているコオロギの仲間。
オスは翅をこすり合わせて「チン、チン、チン」と鐘をたたいたような小さな声で鳴く。
その昔、枕草子でみのむしが鳴くと歌われたのは、この虫のことだといわれている。
メスには翅がない。
近年同じ樹上性のアオマツムシにおされて、すっかりその声がかき消されているのは寂しい限りだ。
アオマツムシの幼虫とも似ているので間違えられることもある。
耳を澄ませば鳴いているのは確認できるものの、姿を見つけるのは至難の業。
この秋も鳴いている生垣でさんざん探したが、一度も見つけられなかった。
寒くなって鳴き声が聞かれなくなってしまったが、この時期まだ見る事が出来たのはうれしい!